概要
バッハ作曲、15曲あるインベンション曲集のうち8番目となっています。
インベンションだけでなくシンフォニアや平均律などバッハの曲集は、番号が若い方が易しくて曲を追うごとに難易度が上がる…というわけでもなく、この8番は比較的解りやすく、初めてインベンションの曲に触れる学習者にとっても取り組みやすいつくりとなっています。
他にも1、4番も最初に学ぶべきインベンションの曲に該当しますが、人によっては「8番が一番わかりやすい」と感じることもあるようなので、真っ先にやるべき曲の一つにしてもよいでしょう。
細かな演奏ポイント
曲構成の大部分はカノン形式となっています。一小節ずつのズレが生じたタイミングで左右の手が「追いかけっこ」する、所謂「カエルの歌」のような現象が続きますが、初級の段階を終えた学習者にとってはやや混乱が生じやすいものです。そんな中、この曲では反復進行と分散和音をうまく使用し、複雑な動きを極力回避することによって学習者が両手練習をしやすい構造になっています。

写真にある通り、2小節にわたる1小節目がヘ長調のⅠの和音の分散和音、2小節目が音階となっていることにより、カノン形式で1小節遅れて左手がスタートしたとしても左手2小節目が1種類の和声の響きだけですので弾き手にも聞き手にも分かりやすい状態です。()で括られている箇所は単調な反復進行が3小節つづきますから、そのうち2小節間はまったく同じパターンの音型です。いきなり両手で弾いたとしても、大半の学習者にとっては容易に譜読みができるでしょう。
11―12小節のカデンツを終えると中間部となります。ここではカノン形式というよりかは、反復進行による左右の手の掛け合いとなります。同じパターンの音型が続きますので、一つずつパッセージを理解し一小節だけでもまずや指の動きを確認してみるとよいでしょう。

写真上で番号が振られている通り、同じ数字はつまり同じ動きであることを指します。一気に通そうとせず、振られたそれぞれの番号の最初の小節だけをまずは練習します。調号や臨時記号は影響しますが、基本的に動かす指は同様です。
26小節目からは後半部となり、冒頭4小節目が変ロ長調に転じるのみとなります。途中転調の仕方も全く同じであるため。4―12、26―34を最初からセットとして練習すると、転調の仕組みも理解が同時にすすみ上達がスムーズになるでしょう。
わからないときは・・・
本稿は、楽譜を自分で読むための視点を示すものです。
実際の練習設計や個別の疑問については、レッスン内で扱っています。
